だこんなに明るいぞ

「お姉ちゃん。 火梛王子って面白いね。
 始めてきた日に、もう寝ようと言ったら
 『まだ昼間ではないか』って言うんだ日本租樓
 明かりを消したら びっくり仰天してるんだもん、笑っちゃった。
 それでも『まだこんなに明るいぞ。 真秀良には本当の夜は来ないのか』
 だって。
 王子さまの国では 夜は真っ暗で、
 月が出ていなければ 一歩先も見えないくらいなんだってさ。
 代わりに 星は真秀良の何倍もあって、
 金色の砂を撒き散らしたみたいに たくさん輝いてるんだって。
 すごいなあ」
 胡枇では たくさんの街灯があるし、水力車の前照灯が行き交っているし、
 一晩中明かりの付いた建物もあって、
 部屋の明かりを消しても 真っ暗になることは無い上環通渠

 そういえば 真麻彦は完全な室内派だった。
 田舎に旅行をした時も、
 部屋でテレビを見てゲームをして 寝てしまう子だった。
 今度田舎に行く機会があれば、たくさんの星を見せてやろう。
 姉として、弟の育て方を考えたほうがいいかもしれない。

 それはともかく、
「明日は、星来と美術館に行く予定なんだけど、
 一緒に行く?」
「もちろんだ。 ユンといると楽しい」
 いちいち口説かれているようなこの話し方は、
 なんとかならんもんだろうか。
 慣れない商務式公寓