顔を出しているらし

 そういえば、 噂によると 葦若の宰相は、
 やれ花見だ、 月見だ、 雪見だとか、
 あるいは歌会だ、 絵合わせだ、 管弦の宴だ、
 単なる飲み会だの どうでも良さげな茶飲み話だのと 事あるごとにお呼びがかかり、
 頻繁(ひんぱん)に 内裏に顔を出しているらしい。
 それを思い出して、 真咲は なんちゅう暇人なのだとあきれた。
 まめな奴と言うべきだろうか臍帶血儲存

「宰相は、 あちらこちらの姫君とか 女官たちに大人気ですものね。
 いったい 何人妻を娶(めと)るおつもりなのかと 大臣(おとど)が心配していましたよ」
 桜子が、 いつもの のんびりした口調で言い出した升中選校

「大丈夫。 妻は一人と決めています」
 節操なしの男かと思ったら、 案外真面目なのだろうか。
 少しは見直してやってもいいかも。
 真咲は意外に思った。

「何人も居ては、 今宵(こよい)は どなたと仲良くしようかと迷ってしまいます。
 そんなことでは 毎日疲れてしまいます。
 虚弱体質なもので、 疲れることは避けたいのです」
 葦若は、 にこやかに理由を説明する。

 だ~めだ、 こりゃ。
 一瞬でも見直しかけたことが痛い。
 真咲の中で、 四年前の 凛々しい少年の印象がどんどん遠ざかってゆく牙周病治療費用